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紙面復刻:高橋「もう1回やり直したい」

●2006年2月18日付の日刊スポーツから●

<トリノ五輪:フィギュアスケート>◇16日◇男子フリー

 不完全燃焼の借りはバンクーバーで返す。フィギュアスケート男子フリーが16日に行われ、ショートプログラム(SP)5位の高橋大輔(19=関大)は204・89点で8位に終わった。4回転ジャンプで失敗し、得意のステップでもつまずくなど、フリーだけでは9位に沈んだ。次の10年バンクーバー五輪(カナダ)は、代表を争った織田信成(18)と2人で男子初のメダルを目指す。SP1位のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)が258・33点で圧勝し、初優勝した。

 リンクに落とした後悔を、いつまでも探していた。高橋は両手を2度、両ひざに置いてかがみ込んだ。あいさつを終えても氷から離れられない。モロゾフ・コーチに「Comeon! Notbad(来なさい。悪くなかったぞ)」と言われてようやく上がったが「もう1回やり直したい…」と、恨めしそうにリンクを眺めた。高橋のトリノ五輪は、不完全燃焼で幕を閉じた。

 初出場の五輪の大舞台。最終滑走の重圧を感じていた。昼食で大好きなチョコ入りクロワッサンを口にしたが「こんなに時間がかかったのは初めて」というほどのどを通らなかった。スタート位置に立った時、頭は真っ白になっていた。

 勝負を挑んだ最初の4回転ジャンプは転倒した。立った瞬間に足がつまずき、増した焦りがさらにミスを呼んだ。人為的採点ミスで話題になった昨年末の全日本の織田と同じく、同じ種類の3回転ジャンプを多く跳びすぎてしまった。「途中で気づいたけど、どうしようもなくて…」。得意のステップも足を取られ、観衆を魅了できなかった。あいさつでもつまずいたほど、体力を消耗していた。「落ち着きがなかった」と漏らすため息は、どこまでも深かった。

 不安があったことを、長光コーチは明かした。1月の米国。注文した靴がなかなか届かず、ようやく来てもサイズが合わず、再び待たされた。半月以上、時間を無駄にした。4回転ジャンプの練習も積めない。「なんでこの時期に」と募るイライラ。それでも高橋は愚痴をこぼさなかった。長光コーチは「逃げずによくやった」と、我が子のように思う弟子をたたえた。

 織田の思いも背負っていた。昨年の全日本の表彰式後に関大後輩の織田と順位が入れ替わった。直後にあった気まずさは、織田からの「恥ずかしい内容」(織田)の励ましメールで完全に消えていた。自分が1枠にしてしまった世界選手権で、2枠にするために臨む織田からの気遣い。自分も負けるわけにはいかなかった。「これで自分のスケートが終わるわけじゃない。スタートと思って、また1からやりたい。次の五輪には(織田と)2人で行きたい」。新たな思いを胸に秘め、19歳の五輪は終わった。【今村健人】

 [2010年2月19日14時22分]


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