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復刻紙面:ハーディングは「ひもが悪い」

1994年2月27日付日刊スポーツ1面
1994年2月27日付日刊スポーツ1面

●1994年2月27日付の日刊スポーツから●

 女子フィギュアスケートのフリーが25日夜(日本時間26日)に行われ「ケリガン襲撃事件」の渦中にいるトーニャ・ハーディング(23=米国)は、最後の大芝居? で締めくくった。ジャンプをミスした直後に、泣きながらスケート靴の不調を訴え中断、ちゃっかり再演技にこぎつけた。結果は8位も大満足で「次は4年後の長野オリンピックを目指す」そうな。一方のナンシー・ケリガン(24=米国)も、やらせ? の花束攻勢を利して銀メダルを獲得した。優勝はオクサナ・バイウル(16=ウクライナ)、日本の佐藤有香(21=法大3年)は5位入賞を果たした。

 「お騒がせハーディング」が、最後まで銀盤を混乱させた。出番が来て名前を呼ばれても出てこない。場内放送でコールされてから2分以内に登場しないと失格になる。ギリギリの1分54秒後だった。右手で酸素吸入器を顔に当て、苦しげな表情で現れた。

 そして演技開始。ところが最初のジャンプ、トリプルルッツを失敗するや突然泣き出した。わずか40秒で演技をやめ審判の元へ一直線。リンクサイドの塀の上に大胆にも右足を投げ出し、「ひもが短すぎて演技ができない」と半ベソをかきながら中断を訴えた。「ウオームアップの途中でひもが切れ、代わりのひもを結んだが短すぎた」と弁解。結局、レフェリーが国際スケート連盟(ISU)フィギュア規定の367条第2項(再スタートの許可)を適用。「器具の予期せぬ損傷」とみなされ、この組の最後に再滑走を認められた。

 「おいおい、またかよ」。米国の記者たちは、全員ため息をついた。実はハーディングは前科2犯。以前にも同じトラブルを起こしている。1992年のアルベールビル五輪前の国内大会、昨年のスケートアメリカと、2度ともエッジの故障を訴えフリーの演技を突如中断している。今回は新技? として、事件以来の自分自身を象徴するように靴のひもをプッツンさせた。

 フィギュアではスペアの靴を持たないだけに、日常からエッジ、ビス、ひも、靴革の状態を点検する。特にひもは摩擦で細くなった時点で替えるのが常識だ。今大会、エストニアの男子選手が演技中にビスを外したが、これは道具の少ない同国の事情によるものだった。お騒がせは、リンク内だけではなかった。「ハーディングは滑る前から控室の中で大声で騒いでいた。みんな迷惑だったと思う」と日本の佐藤も顔をしかめた。

 そんな周囲の混乱にも知らん顔のハーディングは、再演技でずうずうしくも失敗したルッツをまんまと決め8位入賞。「あんな状況でよく滑れたと思う。メダルは取れなかったけど、五輪に来られて幸せよ」と笑顔をふりまいた。

 ところが、ケリガンの銀決定をテレビで見た瞬間、「ああ神様、わたし息ができないわ。神様、神様」と突然あえぎ出した。こんなハーディングをロイター電などは「トーニャはブタのように話題をむさぼった後、お辞儀をして去っていった」と皮肉った。

 [2010年2月19日13時56分]


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