フィギュア

バンクーバー入りし笑顔を振りまく金妍児（撮影・たえ見朱実）

　フィギュアスケート世界女王で日本勢の最大のライバル、金妍児（１９＝韓国）は「００７作戦」で金メダル取りを目指す。１９日、練習拠点のカナダ・トロントからバンクーバー入りした。空港には報道陣とファン合わせて約１００人が殺到。金は到着直後に「来るのがちょっと遅くなったけどトロントでずっと練習してきたからコンディションはいい。ベストを尽くす」と話しただけで、あとは約３０人が手をつないで確保した導線を無言で歩いて車に乗り込んだ。

　国際総合大会に出場する韓国選手では珍しく、選手村には入らず、バンクーバー市内のホテルに滞在する。韓国人記者は「報道陣やファンが集まると集中できなくなるからと、宿泊先は秘密にされている」と明かす。選手村での生活と交流を楽しみにしている浅田とは対照的に、コーチやトレーナー、メークのスタッフ、母親ら「チーム・ヨナ」のメンバーだけで集中する。その隠密行動に韓国の通信社聯合ニュースは、金の今季のショートプログラムの楽曲にちなみ「００７作戦」と報じている。

　金は終始明るく笑顔を振りまいていたが、バンクーバー入りに際し、マネジメント会社が韓国メディアに「込み入ったことは聞かないように」という通達を出すなど、周囲は異常なほどのピリピリムードに包まれていた。

　［2010年2月21日9時50分　紙面から］

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