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茶髪19歳ビックリ8位入賞/モーグル

トップ席に座り笑顔全開で喜ぶ村田(撮影・上田博志)
トップ席に座り笑顔全開で喜ぶ村田(撮影・上田博志)

<バンクーバー五輪:女子モーグル>◇13日(日本時間14日)◇サイプレスマウンテン

 日本女子モーグル界に、2014年ソチ五輪の星が誕生した。19歳の村田愛里咲(北翔大)が、初の五輪で8位入賞を果たした。得意のエアを鮮やかに決め、W杯でも経験のない1ケタ順位に食い込んだ。モーグルのために、福岡から北海道に渡った茶髪ギャルは、物おじしない滑りで、今大会の日本選手団に最初のサプライズをもたらした。

 19歳の若さがはじけた。次回2014年ソチ五輪の“秘密兵器”だった村田が、物おじしない積極的な滑りで8位に入賞した。ゴールすると「すごくうれしかったです。楽しく滑れました」と屈託のない笑顔を見せた。昨年12月、今季初戦のW杯初戦で初めて決勝進出を果たした伏兵が、五輪で輝いた。

 降りしきる雨をものともしなかった。予選は22・99点とまずまずで、日本勢では上村に次ぐ2番手の11位。期待が膨らんだ決勝は第1エアのヘリコプターが「ちょっと乱れた」が、しっかりとコブをとらえた滑りで、第2エアのバックフリップ(後方宙返り)はぴたりと決めた。

 4歳でスキーを始め、週末のたびに自宅のある北九州市から広島のスキー場まで通った。中学入学後は長野や北海道へも足を運んだ。全国的には無名の存在だったが、兄幸輝さん(21)を追う形で、高校進学と同時に北国に渡った。転機は、北海道尚志学園高の本濃祐人監督との出会いだった。

 冬は毎日3時間滑り込み、夏場はエアリアル施設の整った美深でエアの向上に努めた。留学1年目の07年、全日本選手権で3位に入った。08年の同大会デュアルモーグル準々決勝で上村を破り、そのまま優勝した。小6のころ、トランポリンの少年団に週3回通っていた。その空中感覚が、モーグルで生きた。

 高校時代の恩師は08年、血液のがんの一種、多発性骨髄腫と診断され入院中。「やりましたー! ありがとうございました」。会心の滑りを病床に届けた。病床の本濃さんは「滑りも結果もびっくり。すごくうまくなって、オーラが出ていた。よく頑張った。一緒に楽しませてもらいました」とねぎらった。

 トランポリンの経験を生かし、女子では珍しい3Dエアのフルツイスト(後方宙返り1回ひねり)ができる。完成度を考慮して今季は使わなかったが、4年後は確実に武器になる。弱点だったターンの技術をさらに磨けば、世界と戦える。「4年後もこれからトレーニングを重ねて頑張ります」。茶髪のホープは無邪気に宣言した。

 [2010年2月15日8時35分 紙面から]


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