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ノルディック複合

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紙面復刻:連覇だ!荻原、河野、阿部だ!

<冬季五輪リレハンメル大会:1994年2月25日日刊スポーツ紙面から>

 やったぜニッポン、待ちに待った「金」だ。ノルディック複合団体戦の後半距離が行われ、23日の前半ジャンプを首位で折り返した河野孝典(24=野沢温泉スキークラブ)阿部雅司(28=東京美装)荻原健司(24=北野建設)の日本トリオが、2位のライバル、ノルウェーに4分49秒1の大差をつけて優勝。日本オリンピック初の金メダルをもたらした。アンカーの荻原は、個人戦で4位に敗れたうっ憤を晴らすかのように、日の丸を掲げてゴール。日本は、前回のアルベールビル大会に続く「金」で、冬季五輪史上初の2連覇を飾った。

 右手で大きな日の丸を振り回しながら、アンカーの荻原がゴール前の直線コースに入ってきた。背中からは、29キロ地点に用意してあった小さな日の丸も、顔をのぞかせている。「本当は小さいの(日の丸)だけを考えていたけど、せっかく応援してくれた人に悪い、と思って」。大歓声が迎える中、日の丸を両手で支える。ゴール前、右手で掲げ直した。

 場内には突然、カタコトの日本語のアナウンスだ。「ガンバレ、ニッポン」「ガンバレ、ニッポン」「ガンバレ、ニッポン」。何度も繰り返した。運営サイドのいきな計らいに、荻原がガッツポーズ。跳び上がってゴールを駆け抜けると、待ち受けていた河野、阿部と、しっかり抱き合った。「オメデトー、ニッポン、キンメダル」「オメデトー、ニッポン」。勝者をたたえる日本語のアナウンスに、満員の観衆の歓声、地鳴りのような足踏みが起こった。

 「大きな日の丸はすごく重かった。これが“期待”というものの重さなのか、と思いました」(荻原)。さして注目も集めなかったアルベールビル五輪の時とは違い、今回は「金」の大本命で乗り込んだ。個人戦では痛手も受けた。前日の前半ジャンプでは失敗が許されない緊張感もあった。その気持ちを和らげてくれたのは、やはり仲間の存在だった。個人戦で「銀」を取った時と同じように、控えに回った三ケ田礼一(27=リクルート)のスキーを履いた第1走者の河野が、5分7秒の大量リードでスタート。「負ける心配はしなかった。事故だけを注意しました」と安全を心掛けたマイペース。走力のあるノルウェーのアーペラントを向こうに回し、10キロで4分3秒3のリードを保って、阿部の背中をたたいた。

 最年長の阿部も余裕をもって飛び出した。コースわきの声援に、白い歯をのぞかせる余裕があった。15キロ地点、逆にビークとの差を4分12秒4と広げた。「楽しく滑れた」。4分43秒まで差を広げて荻原につないだ。

 「良いチーム、スタッフに恵まれた。きょうだけは(禁酒を解いて)シャンパンを飲みたい。20ミリリットルでもいいから」と河野が言った。阿部は、「やめようと思ったときにはいつも、だれかが支えてくれた。この2年間はカミさんであり(長男の)大輔でした」と目を潤ませた。阿部の故郷、北海道・小平(おびら)町の後援会に手渡された日の丸とともにゴールに入った荻原は「何がうれしいって。チームで勝ったのが最高なんですよ」。してやったりの笑みが、そこにあった。

 [2010年2月24日4時44分]


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