バイアスロン |
<バンクーバー五輪・バイアスロン:男子30キロリレー>◇26日(日本時間27日)◇ウィスラー五輪公園
ベテランのオーレアイナル・ビョルンダーレン(36)が、冬季五輪史上単独2位となる通算11個目のメダルを獲得した。男子30キロリレーにノルウェーのメンバーとして出場。射撃の正確性が復活して罰走を回避。オーストリアを突き放し、最終走者の責任を果たした。今大会は不振で限界説も噴出したが、それを自ら吹き飛ばした。4年後のソチ大会では、ダーリ(ノルウェー)が持つ通算12個の冬季五輪記録の更新を目指す。
追いかけてくる者は、もうだれもいなかった。スタンドのファンから国旗を受け取ると、ビョルンダーレンはウイニングランのように悠然とゴールした。「最高の自分を見せられた。自分は自分の仕事ができたよ」。圧倒的な速さから「バイアスロンの帝王」と呼ばれた男が、誇りと自信、そして強さを取り戻した。
オーストリアのズマンとわずか0秒2差の首位で、最終走者を託された。降り続く雪でスピードが出にくい状況の中、心掛けたのは正確な射撃だった。「(雪で)最高の状況ではなかったけど、頭の中を空っぽにして臨んだ」。7発を使い、5つの的を確実にヒット。失敗で罰走を強いられるライバルを横目に、最後はズマンに40秒近いの大差を付けてゴールした。
5種目目にして、これが今大会自身初の金メダルだった。メダルは20キロの銀だけ。15キロでは27位と失速し、限界説も飛び出した。だが自分では、若手の躍進を実感しており、今大会のメダル予想を当初から2つと設定していたという。「終わってみれば、この五輪は完ぺきだったと言えるね」。目標達成に笑顔を見せた。
メダル数の冬季五輪記録は、スキー距離のダーリがマークした12個。現役続行を表明しているビョルンダーレンにとって、4年後のソチ大会への大目標となる。「4年後に向けての準備が始まる。ソチではベストを尽くして最高の状態にするよ」。ソチ大会を40歳で迎えるメダルハンターが、ついに母国の英雄を射程に入れた。