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葛西バッケンタイで2位/ジャンプ

<スキー・ジャンプ:HBC杯>◇11日◇札幌・大倉山(HS134メートル、K点120メートル)

 五輪での期待値を急上昇させる大デモンストレーション飛行だ。五輪日本人史上最多6度目の代表を確実にしている葛西紀明(37=土屋ホーム)が、大倉山のバッケンレコード(ジャンプ台記録)タイをマークした。予選で145メートルを飛び、05年の金子祐介の記録に並んだ。ノックアウト方式で行われた大会こそ、決勝で伊東大貴(雪印)に敗れ、2位に終わったが、バンクーバー五輪でのメダル奪取を照準に入れた。

 葛西がまったく落ちてこない。「飛びすぎ!」。場内にいた姉紀子さんが思わず叫んだ。危険防止のため他選手よりスタートゲートを自ら2段(1メートル)下げた葛西の予選。ポールに掲げられた日の丸が、バタバタと音を立てて揺れるほどのあおるような風がふきつける。力強く飛び出すと風をとらえ、バッケンレコードと書かれた大看板と同じ位置まで飛んでいった。

 145メートル。どよめきの中で主役は、ファンに向かって右こぶしを軽く掲げてこたえた。「もっといってなかった? ホント? 後でビデオで見てみないと。あと5メートルはいけた」と平然と言ってのけた。帰国後国内3連勝は逃したが、日本人史上最多の6度目の五輪を前に上昇カーブを描くジャンプだった。

 “世界基準”もクリアした。予選こそゲートは16番だったが、準々決勝は10番ゲート。18番ゲートからだった前日から4メートル下げられ、スピードは2、3キロ落ちた。葛西は「世界のトップならどこまで飛ぶかと想定しながら飛んだ」と仮想五輪を意識した。勝った伊東は108メートルに終わったが、難しい条件の中118メートルとK点近くまで飛距離を伸ばした。全日本スキー連盟の斉藤智治ジャンプ部長は「条件とかは違うが、W杯と同じスピードでどれだけ飛べるか見たかった。あのジャンプなら上位にいける」と太鼓判を押した。

 8日の帰国後、9日からの国内3連戦に名寄に住む姉紀子さんら親類5人を自腹で招待した。姉紀子さんは「調子いいから誘ってくれたのかな。10日の試合のテレビをみんなで見たけど自分のジャンプを『すげぇ~』って言ってたんでみんなに『あなたでしょ』って突っ込まれてました」と頼もしそうにヒーローを見つめながら話した。

 過去5度の出場で個人メダルがない。「絶好調にならないとメダルはない。もう少しレベルを上げないと」と気持ちを引き締める。何度も悲運に泣いたエースが、バンクーバーに忘れ物をとりにいく。【松末守司】

 [2010年1月12日9時22分 紙面から]


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