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Freestyle Skiing愛子「大人になった」天候不順も動揺なし
【バンクーバー(カナダ)11日(日本時間12日)】女子モーグルの上村愛子(30=北野建設)が、過去最高の精神状態でメダル取りに挑戦する。大会2日目の13日(同14日)の競技は、天候不順のため順延の可能性もあり、雪質も目まぐるしく変わるが、動揺なし。16年前、モーグルを始めるきっかけをつくってくれたカナダ在住の千安英彦さん(48)も観戦する五輪は、恩返しの大会になる。
試合を2日後に控えた上村は、落ち着いていた。会場のサイプレスマウンテンで午後6時半から約2時間。その後の取材エリアで、報道陣のインタビューに約18分間も応じた。元プロテニスプレーヤーでスポーツ・コメンテーターの松岡修造氏から「試合前に、こうやってみんなの前でしっかり話す愛子さんは、初めてなんですよ。それだけ、しっかりと覚悟ができてるかなって感じてるんですけど」と話を振られると、笑顔を交えて言った。
上村 覚悟もできてますし、ようやく慣れたのかなと思います。毎回、五輪のたびに、自分でも分からないくらいドキドキしたり、焦ってたりとか、皆さん(報道陣)の前でどうしよ、どうしよみたいな、なかなかなじめてなかったのかなと思います。今、ようやく、ちょっと大人になったなと思います。
練習では、エアとエアの間のミドルセクションを世界一の高速ターンで滑り降りた。今季課題としている第1エアのヘリコプター(横1回転)を入念にチェックし、第2エアは大きなバックフリップ(後方宙返り)を決めた。堂々としていた。
心を乱されかねない要素は、いくらでもある。天気が不安定で、この日も雨、風、霧が会場を取り巻いた。試合当日は午前6時に、その後18時間の予報を参考にして、開催の可否が決まる。順延の可能性(予備日は現地時間の15、16、19日)。予選だけで打ち切られるケースすらある。それでも上村は「そうなったら、しょうがない。モーグルはいつも、こんなことがありますから」と平然と言った。
小心者を自認しながら、強くいられるのは調子の良さの裏付けでもある。
上村 今日、ものすごく気持ちよく滑った。こういう感じでしっかり自分の技術を出せるような滑りができたら、応援に来てくれる人たちも満足してくれる。
中1の時、いじめと上下関係に悩み、スキー部をやめた。中2の冬休み、バンクーバー近郊の街に1人で旅をした。泊まった家は、千安さん宅。ここでモーグルのビデオを初めて見て、W杯観戦を勧められた。千安さんは言う。「『モーグルやりたい、かっこいいからやりたい』と話していたのを覚えています。彼女がここまで頑張ってこられたのは、驚きです。今回は結果にこだわらず、思い切ってやってくれればいい」。
母圭子さん(58)ら、白馬村からの応援団12人が、この日午前にバンクーバー入りした。支えてくれた人たちにささげる「恩返しの五輪」は、もうすぐ始まる。【佐々木一郎】
[2010年2月13日10時1分 紙面から]
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