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愛子「金」宣言!絶好調プラス秘密兵器

公式練習を終えて笑顔を見せる上村(撮影・上田博志)
公式練習を終えて笑顔を見せる上村(撮影・上田博志)

 フリースタイルスキー・女子モーグルの上村愛子(30=北野建設)が、13日(日本時間14日)の競技本番で「秘密兵器」を投入する。ターンが美しく見え、エアが映える新デザインのスキー板を使用することが分かった。試合前日の公式練習でも好調をキープし、目標をメダルから「金メダル」に上方修正。世界屈指のターン技術と、こだわり抜いたデザインの板で、五輪4度目で初の金メダル取りに挑戦する。

 公式練習は、満点の出来だった。上村は3本目を終えると、高速ターンを伝授してくれたラハテラ・コーチとハイタッチで締めくくった。報道陣から「不安はないですか?」の問いに「ないですね。あとはスタートする瞬間に、自信を持って、落ち着いてスタートできれば何も問題ないかな」と言い切った。

 今季W杯は7戦未勝利で、2位が2回。苦戦が続いたが、調子の波は五輪にピタリと合った。4日に日本を出発する際「メダルは絶対に取りたいな、なんて思ってますけど、もう何番かはどうでもいい」と話していたが、この日は「誰が1番か分からない接戦になると思っているので、何番になるかは約束もできないけど、できれば優勝したい」と頂点を意識に入れた。

 秘策もある。上村が愛用するスキー板「ID one」を制作するマテリアルスポーツ(本社大阪・守口市)の藤本社長は「今回履いているスキーは、今までとちょっと違う。勝ったら教えますが、それまでは秘密」とニヤリ。同社長は口を割らなかったが、板の底面のデザインが、バンクーバー入り後から新しくなっていた。

 もともと、上村のスキーは先端が白い。雪面と密着して見えるための工夫で、ターンの美しさが増す。残りの部分は黒。これは、エアの見栄えを良くするためだ。これまで白黒の割合が2対8程度だったものが、五輪から5対5のものを導入する。これで、仮にターンが乱れても、見た目でさらにカバーできる。

 心理的効果も大きい。同社長は「打ち合わせているので、本人も知っている」という。素材など機能面は変わらないが、最新デザインから安心感を得られることは、何物にも替え難い。ここまで繊細に用具の色までこだわっている選手は、海外にはいない。

 母圭子さんには、バンクーバー入りしてから読んで欲しい手紙を渡してあった。前日、現地入りした母から「感動した」とのメールが入った。「安心して見てもらえるように、自分が不安定だと(応援に来る)みんなもつまんなくなっちゃうから、絶対大丈夫だよ、大好きだよ、みたいなことを書いてます」。雨や霧で順延の可能性もあるが、一切の動揺は見せなかった。

 4年前、5位に終わったトリノ五輪のレース後、母らが手作りした紙製金メダルを首にかけてもらった。今も、長野・白馬村にある実家のリビングに飾ってある。今度こそ、本物のメダルを、母の首にかけたい。

 母は娘を集中させるため、気を付けていることがある。「競技のことはよく分からないので、余計なことは言わず、本人を信じてあげること」。競技は分からないかもしれないが、娘の顔色ですべてが分かる。だから、上村は言う。「私が『滑りきった』みたいな顔をしたら、お母さんも満足。精いっぱいやるだけかな」。夢を胸に、スタート台に立つ。【佐々木一郎】

 [2010年2月14日8時42分 紙面から]


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