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進学塾の恩田先生が生徒代表し滑りまくる

 バンクーバー五輪男子ノルディックスキー距離のエース恩田祐一(29)が日本時間18日未明、スプリント競技に出場する。恩田の所属はスポーツ界全体で見ても珍しい進学塾の「栄光ゼミナール」。バンクーバーを目指し、こつこつ努力する姿に同社首脳がほれ込んで決まったスポンサー契約も今年で2年目。受験シーズンには禁句の「滑る」競技だが、栄光ゼミナールでは「7万人の生徒の分まで滑りきり、代表して表彰台に立ってほしい」と応援している。

 恩田“先生”が、全国7万人の生徒の分まで滑りまくる。栄光ゼミナールでは、受験シーズン本番と重なるため応援会などは開催しないが、受験生も職員も、遠くバンクーバーで本番を迎える「戦友」の活躍を心待ちにしている。

 恩田が近大卒業後5年間所属した滋賀県の印刷会社「アインズ」を退社したのは、バンクーバー五輪まで2年となった08年3月。さらなる練習時間の必要性を感じた恩田は新環境を求めていた。そんな時、知人の紹介で出会ったのが学習塾の栄光ゼミナールを手掛ける栄光の創業者で、当時社長だった北山雅史(まさひと)最高顧問(66)だった。

 栄光によると「頑張る人を応援するのが仕事」と言い続けてきた北山氏が、地味でも毎日コツコツと、限界まで頑張る「練習の鬼」恩田にほれ込み、スポンサーに決まった。進学塾の契約社員だが、塾で教壇に立つ必要はない。以前はオフシーズンには午前中に仕事を手伝うなどしていたが、栄光ゼミナールでの仕事は「納得行くまで練習すること」だけ。給与のほか、練習、遠征、競技に関係する費用は全額、栄光が負担する破格の契約だ。

 栄光ゼミナールには全国に7万人の生徒がいる。恩田も燃えないわけにいかない。ノルディックスキーは、滑るだけでなく斜面を走って登る。夏場は長野の標高2000メートル以上の山を2時間前後で走って登り下りし、ローラースキーに履き替えて県境を越えて群馬県側に降りて登る練習を繰り返した。毎日、実際にぶっ倒れるまで練習し、次の1週間は東京のナショナルトレーニングセンターで筋肉をいじめ抜いて山練習に戻る、猛烈な毎日を送った。

 恩田は昨年8月、栄光ゼミナールの生徒2000人が毎年参加する長野・志賀高原での集中講義合宿で、演壇に立った。「君たちも受験は2月が本番。僕も2月に大きな本番を迎えます。夏に努力して鍛えた者が冬に勝利を得られる。受験もウインタースポーツも一緒です」。恩田が全身を使って2年間続けてきた長い授業は日本時間の18日未明にスタートする。【清水優】

 [2010年2月16日9時55分 紙面から]


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