フィギュア
Figure Skating0.17差鈴木明子3枚目切符/フィギュア
<フィギュアスケート:全日本選手権>◇最終日◇27日◇大阪府門真市・なみはやドーム
女子フィギュア界の苦労人が、五輪切符をつかみとった。SP4位の鈴木明子(24=邦和スポーツランド)が、フリーで2位となり、総合2位に入った。最後の1枠を争っていた3位中野友加里(24)との得点差はわずか0・17。直後の選考会でバンクーバー五輪代表に選出された。高校生の時に頭角を現しながら、大学時代には摂食障害で滑れなかった時期も経験。遠回りしながら、ついに夢の舞台へたどり着いた。
得点を聞くと、鈴木の大きな目から、熱いものがあふれ出た。涙で、観衆がよく見えない。拍手が耳をつんざいた。「滑っている時は、演技に入り込んでいました。終わった瞬間、プツッと切れて、現実に戻った。すごく、こみ上げてくるものがありました」。
SP4位で迎えたフリーの演技。先に滑った選手が、高得点を出したことは雰囲気で分かった。「中野さんの点は分からないけど、私も乗っかろう、波に乗ろうと思いました」。ウエストサイド物語の曲に乗り、ヒロインのマリアを演じた。ジャンプはすべて決めたが、3回転ループを跳んだ後、滑り出しで転倒した。「自分でも笑ってしまいました。そこから後半だったので、自分で気持ちを切り替えられました」。動揺なく滑り切ったことが、高得点につながった。
転んでも、めげない。鈴木のスケート人生そのものだった。トリノ五輪金メダルの荒川静香を育てた長久保裕コーチ(63)の指導を受けるため、03年の大学進学と同時に愛知から仙台へ移った。だが、摂食障害に陥った。体重が減り、リンクに立てなくなった。脂肪がなくなり、夏でも寒くて長袖を着込んだ。「このまま死んじゃうのかな?」。そう思う日もあった。
家族以外で支えてくれたのは、長久保コーチだった。「大丈夫だから」の言葉が、心にしみた。おかゆから食べ始め、時に食事を共にして、食欲を刺激してくれた。あれから約5年。今年2月、長久保コーチが胃がんの手術を受け、胃の半分を切除した。ともに病気を克服し、五輪ロードを切り開いた。
演技後、コーチから転倒を突っ込まれたが、祝福してくれた。「先生が喜んでくれるのを見るのが、私は一番うれしいから…」。人情の機微を知る鈴木の演技は、演歌のように人の心を打つ。57日後、待っている舞台はバンクーバー。波瀾(はらん)万丈の物語は、カナダのウエストサイドにつながった。【佐々木一郎】
[2009年12月28日8時44分 紙面から]
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