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Figure Skating高橋手応えあり!プルシェンコ流新4回転
<メダル候補たちの武器:高橋大輔>
フィギュアスケート男子の高橋大輔(23=関大大学院)が、プルシェンコ流の4回転ジャンプを磨いている。元五輪代表の本田武史氏(28)の助言で、06年トリノ五輪男子金メダリストのプルシェンコ(ロシア)のように助走でカーブを描き、跳び上がる前から体をひねる跳び方に変えた。全日本選手権を制した高橋は、メダル獲得に向け果敢に挑む。
転んでも倒れても、今季の高橋は4回転トーループに挑んでいる。右ひざの大けがから2季ぶりの復帰戦となった10月のフィンランディア杯から12月上旬のGPファイナルまで、全4戦のフリーで、それぞれ1度ずつ挑んだ。着氷が乱れたり、転倒するなど、まだ成功はないが、「以前の半分ぐらいの力で跳ぶことができる」。直線的だった助走を、弧を描くようにした新しい跳び方に手応えを感じている。
98年長野、02年ソルトレークシティーと五輪に2度出場した本田氏は「以前は『よくこんなトーループで4回転を跳べていたな』という感じ」と振り返る。「体が硬いし、踏み切りのタイミングや回転の速さ、体の傾きと、すべて合わないと決まらなかった。それをプルシェンコのような入り方(助走)にした」。曲線的な助走から、跳び上がる前に体を回転させることによって勢いがつく。回転速度が増し、よりスムーズに4回転することができる。従来より滞空時間が短くて済み、たとえ踏み切りに失敗しても、空中で体が傾いても、回転不足になる可能性が低い跳び方だという。
今季はまだ成功していないが、5月から指導する本田氏は「今の大輔は筋力、柔軟性、瞬発力とすべてがそろっている。コツさえつかめば面白いように決まる。4回転に成功したことがある選手は、体の細胞が4回転を覚えている」と言い切る。「改革というより、塩こしょうを加えただけ」という跳び方は、きっかけさえつかめれば、成功率は飛躍的にアップするという。4回転は体力の消耗が激しいが、プルシェンコ流は“省エネ”で、終盤までキレのある演技を持続できる効果もある。
成功率を高めるため、助走の早い段階から左足を後方に下げ、跳び上がる体勢に入る。弧を描きながらこの体勢を持続するには、足首や股(こ)関節が軟らかくなければならないが、指圧を施すなど準備は抜かりない。12月上旬のGPファイナル翌日から、世界で誰も成功していない4回転フリップの練習も開始した。高橋は「試合で(4回転を)入れていくことが成長の糧になる」と話す。本番に向け、ひたすら4回転を磨く。【高田文太】
◆高橋大輔(たかはし・だいすけ)1986年(昭61)3月16日、岡山・倉敷市生まれ。倉敷翠松高-関大-関大大学院。8歳からスケートを始め、02年世界ジュニア選手権で日本男子初優勝。06年トリノ五輪8位。06、07年GPファイナル、07年世界選手権でいずれも日本男子最高の2位。08年4大陸選手権で、フリーと総合の世界歴代最高得点をマーク。165センチ、59キロ。
4回転ジャンプ
◆トーループ 6種類のジャンプの中で、トーループは最もやさしいとされ、4回転の基礎点は9・8点。利き足が右の場合、右足の外側のエッジで滑り、踏み切る時に左足のつま先(トー)をついて右足で踏み切る。高橋は08年2月の4大陸選手権のフリーでは4回転トーループを2回決めた。プルシェンコはトーループとサルコー(基礎点10・3)で成功させたが、フリップ(同11・3)では決めていない。
◆傾向 近年は確率の低い4回転に挑戦するより、3回転止まりでも、ミスのない演技を目指す傾向にある。08年と09年の世界選手権では、ともに4回転に挑戦しなかった選手が優勝。09年の世界選手権では、フリーで出場24人中8人しか挑戦していない。トップ選手が集まった09年のGPファイナルも、フリーで跳んだのは出場6人中3人。
◆他の日本人は 層が厚い男子で世界と戦う上でカギとなるが、小塚崇彦(トヨタ自動車)は11月のNHK杯で転倒するなど、練習では好調な4回転を決められずにいる。GPファイナル2位で五輪代表一番乗りの織田信成(関大)は今季はここまで挑んでいない。
[2010年1月2日8時57分 紙面から]
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