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真央「みどり魂」で3回転半跳ぶ!

エキシビションのフィナーレで笑顔を見せる浅田真央(撮影・たえ見朱実)
エキシビションのフィナーレで笑顔を見せる浅田真央(撮影・たえ見朱実)

 【全州(韓国)30日=高田文太】バンクーバー五輪フィギュアスケート女子代表の浅田真央(19=中京大)が、「みどり魂」で金メダルをつかむ。4大陸選手権優勝から一夜明けたこの日、92年アルベールビル五輪での伊藤みどりさんの銀メダル獲得映像を、バンクーバーに持参することを明かした。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に1度は失敗しながら、自らの決断で演技後半に再挑戦して、五輪女子初のジャンプを成功させた元女王の「意地」と「強い心」を、自らのモチベーションにする。

 伝説と化した偉大な先輩の「入魂ジャンプ」を、浅田が五輪本番で再現する。優勝した五輪前最後の試合から一夜明け、「(伊藤)みどりさんのアルベールビル五輪の映像はよく見る。ジャンプがすごい。パソコンでも見ることができるので、バンクーバーでも見ると思う」と明かした。本番前に士気を高めるために、伊藤さんの映像をまぶたに焼き付ける。

 伊藤さんは92年アルベールビル五輪で、女子で初めて五輪で3回転半ジャンプを決めて銀メダルを獲得した。フリーでは前半に1度だけ跳ぶ予定だったが、失敗してしまった。しかし、「何としても五輪で決めたい」と、体力的に大技は困難とされる後半に自らの意思でもう1度跳んで、見事成功させた。その意地と勇気は伝説になっている。

 浅田は3回転半を「自分の最大の見せ場で、一番のもの」と言い切る。五輪ではショートプログラム(SP)とフリーで計3度3回転半を跳ぶ。難易度が高くリスクも高いが、決めなければ金メダルには届かない。だからこそアルベールビル五輪での「何がなんでも決める」という伊藤さんの決意のジャンプは、最高の教科書でもあった。

 ジャンプ以外でも伊藤さんと共通点が多い。同じ名古屋出身で、同じ山田満知子コーチに師事した。子どものころからあこがれで、中学2年時の04-05年シーズンには、伊藤さんが着用していた衣装を譲り受けて、フリーで着たこともあった。五輪で3回転半を3度すべて成功させれば、その大先輩を超える金メダルに近づくことになる。

 五輪への「シミュレーションはできている」と話す。4大陸選手権ではSPとフリーの間の中1日の過ごし方など、本番を想定して過ごした。年明け早々、マジックで紙に大きく「オリンピックでパーフェクトに滑る」と書いた。その目標を達成したとき、冬の五輪史に新たな伝説が刻まれる。

 [2010年1月31日8時33分 紙面から]


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