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真央23点差銀「悔しいです」/フィギュア

2位の表彰台で、銀メダルを左手で触れながら寂しそうに見つめる浅田
2位の表彰台で、銀メダルを左手で触れながら寂しそうに見つめる浅田

<バンクーバー五輪:女子フィギュアスケート>◇25日(日本時間26日)◇パシフィック・コロシアム

 それでも、悔しいです! 浅田真央(19=中京大)が、銀メダルに無念の涙を流した。ショートプログラム(SP)2位から逆転を目指し、五輪女子史上初めてトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2度決めて、SPと合わせて1大会3度成功。総合得点でも205・50点で自己最高を更新したが、後半の3回転ジャンプのミスなども響き、自らの世界歴代最高点を大幅に更新する228・56点で金メダルを獲得した金妍児(19=韓国)に大差をつけられた。演技後は涙を流して悔しがり、4年後のソチ五輪での再挑戦を宣言。安藤美姫(22)は5位、鈴木明子(24)は8位で男子に続き、日本勢3人が全員入賞した。

 硬直していた表情が、泣き顔になった。演技終了後の会見。「価値ある銀メダルでは」の問いに、浅田は約30秒間も沈黙した。その後、絞り出すように言った。「悔しいです」。それから涙が止まらなくなった。何度もおえつが込み上げ、言葉にならない。「(トリプル)アクセルを2回跳べたのは良かったけど、ほかの部分でミスがあった。演技自体は全然、満足していない」。言葉につまりながら、何度も涙をぬぐった。

 総合205・50点は、国際大会での自己ベストを3・63点も上回る高得点だった。だが、得点表示を見つめる浅田は、表情を失った。金が直前に出した世界歴代最高得点228・56点とは、23・06点もの大差がついていた。「メダルを取れたことははうれしい。五輪で3回転半を3回決めたのは誇り」とも話したが、表情は曇ったまま。表彰式でも、いつもの笑顔はなかった。観客の声援にひきつった笑みを返すのが精いっぱいだった。

 直前に滑った金が完ぺきな演技で、自らの世界歴代最高得点を更新した。リンクサイドの浅田は、ライバルの演技を見ずに、耳にイヤホンを当て、音楽を聴いて集中力を高めた。それでも、会場の大歓声は地鳴りのように胸に響いた。「得点は見えなかったけど、すごい演技をしたんだなと感じました」。無意識のうちに、重圧を感じていたのかもしれない。

 冒頭で3回転半ジャンプを成功させた。さらに2回転トーループとの連続ジャンプで再び3回転半を決めた。しかし、皮肉にも女子史上初めてフリーで2度の大技を成功させたことで、硬くなった。「アクセルを2つ跳んでから緊張感が出た」。後半の3連続ジャンプの最初の3回転フリップが回転不足になった。続く3回転トーループは、エッジを氷にひっかけて1回転に。「跳ぶ前にガクッときてしまった。疲れかもしれない」。悔やみ切れないミスだった。

 小学2年の98年、長野五輪で当時15歳のリピンスキー(米国)の金メダルに感動した。「年上の選手ばかりの中で、1人だけ小さいのに難しいジャンプを次々と決めていた」。同年、病気で入院していた母匡子(きょうこ)さんに手紙を書いた。「絶対にオリンピック選手になるから」。以来、五輪の金メダルだけを夢見てきた。

 リピンスキーと同じ15歳で迎えた06年トリノ五輪シーズン、GPファイナルを制して世界の頂点に立ったが、国際スケート連盟の年齢制限に、わずか87日足りず出場できなかった。母に「何でもっと早く生んでくれなかったの」と冗談で話したことはあったが、不満をもらすことはなかった。すぐに4年後のバンクーバーへ気持ちを切り替えた。

 08年は世界選手権で優勝し、GPファイナルも制した。ところが、五輪シーズンで、突然の不振に陥った。昨年10月のロシア杯ではシニア転向後自己ワーストの5位に沈んだ。得意の3回転半ジャンプが跳べなくなった。原因は肉体の変化だった。身長は163センチと公表されているが、加藤トレーナーは「166センチの私とほぼ同じ」と明かす。不振のロシア杯は自己最重量の49・5キロで出場していた。金メダルどころか表彰台さえ危ぶむ声が出た。

 しかし、浅田は自らの力でこの苦境を乗り切った。この1カ月間で1日5時間以上の猛練習を課し、ジャンプを跳び続けた。10%ほどだった体脂肪を約7%に、体重も48キロに絞り込んだ。3回転半ジャンプも本来の切れが戻った。自信もよみがえった。「金メダルがほしい」と、胸を張ってバンクーバーに入った。

 目標だった3回転半ジャンプを2回決めた。だからこそ、小さなミスが悔やみ切れなかった。メダルの色以上に、大舞台で最高の演技で金と競えなかったことが、悔しかった。「予想していたよりもすごく、悔しさの方がある。この舞台にもう1度戻ってきたい」。ソチ五輪まで4年、金メダルを追い掛ける浅田の夢物語がまた始まる。【高田文太】

 [2010年2月27日9時34分 紙面から]


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