バイアスロン
Biathlon競技メモ
バイアスロンとは
クロスカントリースキーとライフル射撃を組み合わせた複合競技。クロスカントリースキーの時は脈拍160を超える激しい「動」の要素を持ち、ライフル射撃の時は一転して呼吸を整えて標的を狙うデリケートな「静」の要素を持つ。「動」と「静」の相反する要素をいかにバランスよく整えるかが難しく、肉体的にも過酷なスポーツ。
ルール
- スキーを履き、銃を背負った競技者が、スタート後、第1コースを走行して射場に入り、指示された射座から50メートル前方の円形黒色の5個の標的を撃ち、射撃が終了すれば第2コースを走行して射場に戻り、再び射撃を行い、規定回数を打ち終われば最後のコースを走行してゴールインするのが原則となっている。
- 勝敗はタイム(ゴールインするまでの時間の短さ)によって決定するが、標的射撃のミスが、ペナルティーとしてタイムもしくは距離に加算される。タイムの場合は、標的撃ち残し1個につき1分を加算。距離の場合は、標的撃ち残し1個につき、射場のそばに設けられた1周150メートルのペナルティーコースを1周してもとのコースに戻る。
- また、走行距離によって、「インディビジュアル(個人)競技個人」(男子20キロ、女子15キロ)、「スプリント競技」(男子10キロ、女子7・5キロ)の種目があり、ほかにも「パシュート(追跡)競技」(最初に行った競技でのタイム差を付けてスタートし、前の選手を追いかける競技)や、「マスタート競技」(個人総合30位までのランクの選手が一斉にスタートする競技)や、「リレー競技」がある。
- スキーのサイズは、最短が競技者の身長、最長で230センチ。射座から射的までの距離は50メートル。ライフルは22口径ロングライフル。日本では銃刀法があるので、20歳に達していないと銃は扱えない。そのため20歳未満の者は、18歳から可能である空気銃を使っておこなう種目もある。(特例として、国体のライフル射撃の選手、または候補と成りうる者は、都道府県の体育協会の推薦を受ける事が出来て14歳以上でも空気銃の所持が可能になる)
競技の見どころ
コースを周回する間に伏せ撃ちと立ち撃ちの2種類の射撃を行い、的を外すとペナルティが課せられ、たちまち順位が逆転してしまうことから、スリリングな展開が繰り広げられる。
歴史
原形は、もともと北欧の人々がスキーを履き、銃を背負い、獲物を追って山野を走りまわっていた雪中の狩猟スタイル。18世紀後半にスウェーデンとノルウェーの軍人が行ったのが始まりといわれている。
日本の競技者数は約500人と少ないが、ヨーロッパを中心に世界では約300万人がバイアスロンを楽しんでいる。世界選手権の出場国は約40カ国。男子が60年スコーバレー大会から、女子は92年のアルベールビル大会から正式種目となった。
日本は、アジアで最も早くこの競技を取り入れた国で、そのためトップクラスの実力を誇っているが、世界の強豪国との格差は顕著で、実力は世界ランキング15位程度。98年の長野大会では高橋涼子が女子15キロ個人競技で6位、02年の世界選手権では田中珠美が同じく女子15キロ個人競技で4位に入賞している。日本では競技の性質上(雪上の競技で銃も扱うことから)、降雪地にある自衛隊が中心になっている。
日本代表選手とライバル
バンクーバー大会での代表枠は男女各1つしかなく、12月のW杯の結果をもとに男子は井佐英徳、女子は鈴木芙由子が代表に決まった。強豪国はノルウェー、ドイツ、フランス、ロシア、スウェーデンなど。