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死のリュージュ開幕日に悲劇144キロ激突

クマリタシビリ選手の事故をとらえたビデオ画像(AP=共同)
クマリタシビリ選手の事故をとらえたビデオ画像(AP=共同)

 そり競技会場のウィスラー・スライディングセンターで12日に行われたリュージュの公式練習で、男子1人乗りのノダル・クマリタシビリ選手(21=グルジア)が事故死する悲劇が起きた。最終コーナーでコースから投げ出され、コース外の鉄柱に激突。搬送先の病院で死亡が確認された。冬季五輪での死亡事故は5例目で、選手に限ると4人目。大会組織委員会(VANOC)は早急な調査を開始し、競技は13日から予定通り実施すると発表した。

 開会式を数時間後に控えた五輪が、悲劇に見舞われた。86年を数える冬季五輪でも、わずか5度目の死亡事故。冬の祭典の到来を告げる華やかなムードが、一瞬にして消沈した。

 事故はコースの最終コーナーで起きた。15カ所のコーナーをクリアしたクマリタシビリ選手は、最後の右カーブへ時速約90マイル(約144キロ)で突入した。曲がろうとした瞬間、そりが外へふくれる形になった。すぐに修正しようと右に体重をかけたが、方向操作を誤って逆側の側壁に衝突。今度はよれすぎて側壁に衝突。その衝撃で左外側へ投げ出され、コース外に立っていたむき出しの鉄柱に上半身を強く打ちつけられた。その場ですぐ心肺蘇生(そせい)措置を施され、ヘリコプターで病院に運ばれたが、間もなく死亡した。公式練習は、事故後すぐに中止された。

 今大会のために作られたこのコースは、世界でも屈指の難易度を誇る高速トラックと評判だった。中には「50-50(成功確率50%)」、「戦慄(せんりつ)」というあだ名が付いた個所もあり、上位の選手でも失敗が相次いでいた。クマリタシビリ選手はW杯で結果を残せていなかっただけに、実力不足を指摘する声も上がっているが、事故が起きたコーナーも難所の1つ。グルジアのルルア文化スポーツ相は「彼の技術、経験不足を指摘するのは早計で不公平」と反論した。

 組織委員会はこの日、地元警察当局とともに事故調査を行い、現場付近の壁を高くするなどの安全対策を講じるとした。その上で、13日からの競技は予定通り実施するという。国際オリンピック委員会のロゲ会長は会見を開き「情熱ある若い選手が命を落とした。彼には五輪に出たいという夢があった。厳しい練習を積んで、致命的な事故に遭った。言葉が見当たらない」と声を詰まらせた。開会式では、五輪旗とカナダ国旗の半旗が掲げられ、悲しみの中で大会の開会が宣言された。

 [2010年2月14日9時15分 紙面から]


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