ジャンプ
Ski Jumping日本ジャンプ陣に金の風
【ウィスラー(カナダ)=10日(日本時間11日)】日の丸飛行隊に、あの長野五輪以来の金メダルが見えてきた! バンクーバー五輪は12日(日本時間13日)に開幕。開会式前に先陣を切ってジャンプ・ノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)個人予選が行われる。10日の五輪会場での公式練習で、竹沢択(22=北野建設)が100メートル超え3連発。五輪6度目出場の葛西紀明(37=土屋ホーム)、伊東大貴(24=雪印)も101メートルをマークした。決勝時間の午前11時ごろから向かい風が吹く気象状況は札幌・大倉山そっくり。日本に金メダルへの「追い風」が吹いてきた。
雪を切り裂いて、葛西がウィスラーの空へ飛び出した。踏み切りでミスをしながら、2回目に101メートルの大台超えを記録し、3回目もK点越え。「神風」の文字の入った五輪用ヘルメットを着用して、本番会場での初飛行を終えた37歳は「ちょっとタイミングが遅れた。ただ最後のジャンプはあれだけ失敗してもあそこまで飛べた。イメージ通りなら104メートルは飛べる」と、手応えをつかんだ。
6日から3日間、米国で直前合宿を行い、前日9日にバンクーバーに到着後、約2時間かけてウィスラーに入る強行日程で臨んだ公式練習だった。しかもこのジャンプ台でノーマルヒルを飛ぶのは今季初めて。その状況下で世界王者シモン・アマン(スイス)に約5メートル差まで迫った。
22歳で初めて代表入りした竹内は、3回とも100メートルを超えた。「大きなミスはない。国内にいたときよりもいい」。1月からの連戦で疲労気味だった若きエースの伊東も、尻上がりに飛距離を伸ばして3回目に101メートルを記録。「ここにいればジャンプのことだけ考えられる」と、前向きに話した。
追い風が吹いた。谷を切り開いて造ったウィスラーのジャンプ台は、形状にくせがなく飛びやすいものの、山に囲まれて風が吹きやすいのが特徴。特に決勝で上位選手が飛び始める午前11時ごろから「向かい風」が吹き始める。同じように山を切り開いて造ったため、風がめまぐるしく変わる“日本のホーム”札幌・大倉山の環境にそっくりだった。伊東も「大倉山に似ている」と話した。
パワーを武器にする欧州勢は無風や追い風に強い。一方、技術で勝負する日本は悪天候や向かい風で実力を発揮する。大倉山で開催された1月16日のW杯では、伊東が今季2度目の表彰台となる3位に入り、風に悩まされたアマンは5位にとどまった。葛西は特に今年は大倉山の風と相性がいい。145メートルのバッケンレコードを記録するなど4勝を挙げている。
日本ジャンプの五輪でのメダルは、あの日本中を熱狂させた98年長野五輪を最後に、2大会も遠ざかっている。金メダルを獲得した同五輪団体で、直前に調子を落としてメンバーから外れた葛西の、金メダルへの思いは特に強い。荷物の中には同五輪の前年に亡くなった母幸子さん(享年48)からの手紙が入っている。「自分を信じて」。この言葉に何度も助けられてきた。「母さんに金メダルを見せたい」。6度目の五輪で葛西が悲運のエースを返上するとき、伝統の「日の丸飛行隊」が再び世界の頂点に立つ。【松末守司】
[2010年2月12日9時11分 紙面から]
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