フィギュア
Figure Skating川口「引退してもそばに」/フィギュア
<バンクーバー五輪・フィギュアスケート:ペア>◇15日(日本時間16日)◇パシフィック・コロシアム
五輪出場のため国籍を変更し、ロシア代表となったフィギュアスケート・ペアの川口悠子(28)は、メダルにあと1歩届かなかった。アレクサンドル・スミルノフ(25)と組んでショートプログラム(SP)3位で臨んだフリーは、ジャンプでミスを連発し7位。総合194・77点で3位のドイツペアとは15・83点の大差の4位に終わった。99年に日本を離れ、母親のように慕うロシア人のモスクビナ・コーチに師事したが、第2の祖国にメダルをもたらすことはできなかった。
得点を見つめる川口の表情は、凍り付いたままだった。約1カ月前に優勝した欧州選手権より20点近くも低い、総合194・77点。3組を残して首位も、メダルはあきらめていた。「強く望みすぎてしまい、やらなくてはならないことをできなかった。何を望んだ? クリーンに滑ること。順位ではない」。時々唇をかみしめながら話した。
完全燃焼とはほど遠かった。最終組1番目として滑り始めるわずか1分ほど前に予定が急変。大技のスロー4回転サルコーの回避を、モスクビナ・コーチに指示された。「直前で3回転にしようと言われ、頭の切り替えができなかった」。安全策のはずの同3回転で右手をつく着氷失敗。さらにスロー3回転ループで豪快に転倒した。この種目で五輪12大会連続金メダルという、伝統国ロシアのエースの重圧も動きを硬くした。
同級生にトリノ五輪女子シングル金メダルの荒川静香がいたこともあり、高校入学当時はシングルで成績が伸び悩んだ。そんな時にテレビで見た、98年長野五輪のロシアペアの演技に感動。不慣れな英語で「あなたの指導を受けたい」と書いたファクスを、現在のモスクビナ・コーチに送った。何度も断られたが、熱意は伝わった。99年から日本を離れ、米国、ロシアと同コーチを慕って転々とした。03年にはプーチン首相の母校サンクトペテルブルク大に入学。「北方領土問題」をテーマにロシア語で卒論を書いた。昨年2月、ロシア国籍を取得した。
夢舞台での活躍だけを目指しただけに「来シーズンはまだ何も決めていない」。真っ先に思い浮かんだのは「引退してもそばにいたい。理想の女性で日本の親と同じ存在」という、11年前から指導を受けるモスクビナ・コーチ。演技終了後に同コーチに「しょうがない」と言われ、肩の荷が下りた。メダルは獲得できなかったが、かけがえのない存在を手に入れていたことに気がついた。【高田文太】
[2010年2月17日9時40分 紙面から]
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