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高橋育った岡山・倉敷リンク「誇りです」

 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子で高橋大輔(23=関大大学院)が銅メダルを獲得した19日も、岡山県倉敷市の「ヘルスピア倉敷・アイスアリーナ」では小学生から社会人までのクラブメンバーが練習に汗を流していた。高橋が小・中学生時代に滑っていたリンクは、経営難から一時は施設売却の危機に陥っていた。しかし、高橋や地域住民の尽力で09年9月に運営が再開された。将来の五輪出場が期待される“高橋2世”の中学3年生・田中刑事君らは「偉大な先輩に続くぞ」と意気込んでいた。

 日本人男子初のメダル獲得という快挙に、倉敷フィギュアスケーティングクラブのメンバーたちの笑顔も輝いていた。ヘルスピア倉敷・アイスアリーナの壁に掲げられた「オリンピック出場おめでとう 高橋大輔選手」の横断幕の下、約40人のメンバーが軽快にリンクを滑り、ジャンプする。練習を見守った保護者のひとりは「高橋選手の活躍は私たちの誇り。今日は生徒たちもハツラツとして見えますね」と笑顔で言った。

 アイスアリーナは岡山県内唯一の公式リンクだったが、経営難から08年3月に閉鎖された。しかし、高橋ら多くの優秀な人材を育ててきた歴史ある施設だけに、地元住民らが存続に立ち上がった。保護者らによって「倉敷のスケートリンクの存続を願う会」が発足し、署名活動を行うなど倉敷市をはじめ各所に支援を要請。学校法人加計学園が施設を購入することで窮地を脱し、昨年9月に運営が再開されていた。高橋も願う会のチャリティーエキシビジョンに無料参加するなど存続活動に尽力し、岡山県スケート連盟からは感謝状も贈られていた。

 そんな偉大な先輩の公私にわたる活躍がメンバーの励みになっている。今年1月に国体個人で優勝し、日本スケート連盟の強化指定を受けている田中君は「高橋先輩がメダルを取ってとてもうれしい。4、8年後の五輪出場を目指し励みたいです」と世界を目指す決意を明かした。

 メンバーの中には、高橋にあこがれて遠方から通っている人もいるという。地域住民の熱意で息を吹き返した伝統と歴史のある「高橋の育ったリンク」の存在意義は大きい。田中君は「身近な歴史ある練習場所がなくならないでよかった。もっと練習して成長したい」と、倉敷で高橋と同じように強くなることを誓った。

 [2010年2月20日7時9分 紙面から]


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