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真央万全の仕上がりで金メダルへ

金の前でトリプルアクセルを決める浅田(撮影・たえ見朱実)
金の前でトリプルアクセルを決める浅田(撮影・たえ見朱実)

 フィギュアスケート女子の浅田真央(19=中京大)が、万全の仕上がりで金メダルに挑む。23日(日本時間24日)のショートプログラム(SP)に向けて22日、午前は五輪会場のパシフィックコロシアム、午後はバンクーバー市内の練習用リンクで最終調整を行った。ジャンプを合わせて32度跳び、すべて成功。切り札のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を8度跳んで、すべて危なげなく決めた。過去にない最高の状態に仕上がり、世界女王の金妍児(韓国)打倒へ視界良好だ。

 最大のライバルの目の前で、浅田が絶好調ぶりを見せつけた。五輪会場のパシフィックコロシアムで行われた午前の公式練習。金と一緒のリンクで、3回転半を5度跳んですべて成功させた。五輪女子SPで3回転半を跳んだ選手は過去いない。コーチに助言を受けていた金が、思わず横目で確認するなど強烈な印象を残した。

 1月の4大陸選手権で課題に挙がった3回転フリップなど、午前練習は35分間で18度ジャンプを跳び、1度も失敗しなかった。昨年2月の4大陸選手権で金に大敗を喫したリンクだったが、前日21日は「最初は緊張したけど、途中から滑っていて『ここに来てよかった』と思った。幸せ。楽しめると思った」と、すでに悪いイメージも消えていた。

 練習用リンクに場所を移した午後も、勢いは止まらない。3度の3回転半を含めて、またも全14度のジャンプを決めた。常々「(トリプル)アクセルを百発百中で決めたい」と話し、目標に掲げていた状態に達した。タラソワ・コーチからは「いい練習だった」との言葉ももらった。国内で直前まで行った最終調整で、3回転半を連日30本以上も跳び、今季序盤の不振からの脱出に努めた成果。試合前日のため取材対応はしなかったが、明るい表情が手応えを物語っていた。

 練習を見守った、06年トリノ五輪金メダリストの荒川静香さんが太鼓判を押す。

 荒川さん トリプルアクセルに関しては問題ないと思う。表情がすごくいいですね。これだけ練習で柔らかな表情で滑っているのは、今シーズンはなかったので、オリンピックでの生活を楽しめているのかな。何かいい予感がしますね。

 しかし、浅田はただ気持ち良く滑っていただけではない。2度の練習で、ともにSPの曲を流して演技した。SP、フリーの曲を1回ずつ流していた従来とは一転。浅田本人が「フリーではなくSPを滑りたい」と希望したという。昨季からSPではジャンプの失敗が多い。苦手意識を取り除くために必死でもあった。

 五輪会場では技術面だけでなく、衣装も確認した。SPで着用してきた従来のピンクのものから、この日はわずか2日前に完成したばかりの赤い衣装を着込んで舞った。どちらにするかは試合当日に決める予定だが、細部にまでこだわる余裕が出てきた証拠だ。年齢制限で出場できなかったトリノから4年。19歳になった浅田が、いよいよ大舞台に立つ。【高田文太】

 [2010年2月24日9時12分 紙面から]


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