フィギュア
Figure Skating美姫が小さな友人へ2個目のメダル届ける
安藤美姫(22=トヨタ自動車)が心を込めて滑る。22日の公式練習では、五輪用に準備したSP用新衣装で、本番さながらの演技を披露した。赤紫と黒を基調に、胸に銀色のラメで十字架をかたどった勝負服を初公開した。フリーの「クレオパトラ」の役作りで日焼けサロンに通い、浅黒くなった肌と銀盤との相性も良く、華麗に舞った。
SPの曲は「レクイエム」(鎮魂歌)。天国にいる父、祖母、そして9歳で亡くなった各務(かくむ)宗太郎君にささげる曲だ。名古屋市生まれの宗太郎君は、生まれつき腸などが正常に機能せず、生涯のほとんどを病室で過ごした。食事ができず、夢は「ハンバーガーを食べること」。海外で多臓器移植を受けるための募金を呼び掛ける新聞記事を安藤は読み、08年1月、宗太郎君に手紙を書いた。
「目がキラキラしていました。こんな重たい病気の子がなぜこんな強い目でいられるんだろうと思いました」。安藤も協力を訴えた募金は半月で目標額の1億2000万円に達した。宗太郎君の渡米を目前に控えた同年2月、都内の病院で初対面。「宗ちゃんにあげる」。3日前に4大陸選手権で取った銅メダルを首にかけた。お返しももらった。小さな手で握ったサケ入りのおにぎり。帰りのタクシーの中で食べた。
移植手術を受けた宗太郎君だが、08年9月下旬、安藤の練習拠点から車で1時間ほどの、ニューヨークの病院で「危篤」に陥った。安藤はアイスショーの予定を変更し、病院に駆けつけた。意識がなかった。病室を飛び出した。しばらくして戻った。宗太郎君が食べたいと言っていたハンバーガーを手にして…。だが小さな友人は、もう天国に旅立ってしまっていた。
安藤の携帯電話には今も、宗太郎君のおにぎりの写真が残っている。安藤は空に向かって氷上を舞う。
[2010年2月24日9時52分 紙面から]
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