フィギュア
Figure Skating真央「近づけた」逆転だ!/フィギュア
<バンクーバー五輪:女子フィギュアスケート>◇23日(日本時間24日)◇パシフィック・コロシアム
逆転の金メダルが見えた! フィギュアスケート女子のショートプログラム(SP)で浅田真央(19=中京大)が今季自己最高の73・78点をマークし、世界歴代最高の78・50点をマークしたライバル金妍児(韓国)と4・72点差の2位につけた。五輪の女子SPでは史上初めて、フリーを含めると92年アルベールビル大会の伊藤みどり以来となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させる会心の演技。競技人生最大のスランプを乗り越え、初の大舞台で真央スマイルがはじけた。25日(日本時間26日)のフリーで、逆転の金メダルを狙う。
思わず跳びはねた。演技を終え、地鳴りのような大歓声がわき起こると、浅田はピョンピョンと2度、両足で跳んだ。会心の演技と実感した時に出る癖だ。リンクを降りると「やったー!」と叫び、2人のロシア人コーチと抱き合った。今季国際大会での自己ベストを約15点更新する73・78点の表示に「うそーっ!」。驚いたような顔は、すぐに笑顔に変わった。
初出場の大舞台で勝負強さを発揮した。冒頭で、今季苦しんだ3回転半を決めた。SPでは今季5度目の挑戦で初成功、五輪では史上初の快挙だ。「足が震えたけど信じて跳んだ。ホッとしたけど、すぐに次の3回転フリップがあるので気は抜かなかった」。波に乗り、3つのジャンプをすべて決めた。終盤にはステップを踏みながら笑みをこぼした。「選手村にいる時から緊張したけど、滑っている間に『五輪で滑っているんだな』と慣れてきた。やっとヨナ選手にSPで近づけた。いつも10点とか離されているので」と笑った。
待望の五輪シーズンで人生最大のスランプに陥った。10月のフランス杯は、優勝した金と過去最大の36・04点差の2位。続くロシア杯では、シニア転向後自己ワーストの5位。五輪切符のかかった全日本選手権まで約2カ月間、愛知・中京大のリンクで練習することになった。コーチやトレーナーら会う人はいつも同じで、話題はスケートだけ。不調とストレスで、12月初めには感情が爆発した。
「もう跳べない」。リンクサイドの更衣室で、2歳違いの姉舞に涙ながらに打ち明けた。4年前は「年齢制限」で出られなかった夢の舞台に立てないかもしれない―。居ても立ってもいられなくなった。
そんな時、一緒に泣いてくれた姉の言葉に救われた。「これまで何万回も跳んできたのだから、今日1日で跳べなくなるなんて、ないから」。一緒に中華料理を食べに行くと、姉はスケートの話はせず、ひたすら励ましてくれた。その直後には2人で名古屋市内に買い物に出掛けた。珍しく浅田から「2人でおそろいの何かがほしいね」と誘った。ようやく見つけたのが赤い糸状のネックレス。それを着けて全日本選手権に臨み、五輪出場権を獲得した。舞は「糸が切れると願いがかなうと言われている」と明かす。もちろん願いは五輪の金メダルだ。
4・72点差は想定内だ。この1年間の3度の直接対決では、SPで10点以上の大差をつけられて負けた宿敵への気後れもない。金と並んだ記者会見では「いつもよりは晴れた気持ち。金メダルはほしいと思っている。フリーでパーフェクトにできるようにしたい」と言い切った。SPではピンクから赤へと衣装の色を変えたが、フリーでは、赤と黒の慣れ親しんだ衣装を着用する。過去の五輪3大会では、フリーで青い衣装を着た選手が金メダルを獲得し、金も青系統の衣装を予定するが、浅田はマイペースを貫く。連続を含む2度の3回転半を入れる浅田しかできないプログラムで、堂々と頂点へと挑む。【高田文太】
[2010年2月25日9時21分 紙面から]
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