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ヨナ女子SP史上世界最高/フィギュア

会見終了後、フリーでの健闘を誓い合い金(右)と握手をかわす浅田
会見終了後、フリーでの健闘を誓い合い金(右)と握手をかわす浅田

<バンクーバー五輪:女子フィギュアスケート>◇23日(日本時間24日)◇パシフィック・コロシアム

 史上最強のボンドガールだ-。世界選手権覇者の金妍児(19=韓国)が、女子ショートプログラム(SP)で自身の歴代最高得点を塗り替える78・50点で、首位に立った。浅田真央の直後に登場し、映画「007」シリーズのメドレーに乗った勢いのある演技で、大観衆の喝采を浴びた。25日(日本時間26日)のフリーに向けて、金メダルへの障害はプレッシャーだけになりそうだ。

 浅田の高得点に会場が沸き返っても、金は表情をまったく崩さなかった。「真央は完ぺきに滑った。少し心配になったが、それはプレッシャーではない。自分のSPに集中した」。集中力が極限に高まっていた。 「007メドレー」が始まり、体をくねらせると、場内に残る浅田の演技の余韻が消えていく。冒頭の3回転ルッツ-3回転トーループを完ぺきに決め、3度のスピンとスパイラルでも最高難度の「レベル4」をマーク。観客を引き込み、演じ切ると右拳を握り締めた。自身のSPの歴代最高得点を2・22点も上回る78・50点。「ベストの状態を見せる時を待っていた」。絶対の自信があった。

 試合前には午前の練習中で転倒。左脇腹と腰を痛打した。すぐに立ち上がり、オーサー・コーチに問題ないことを告げた。だが、しばらくすると左足で氷を蹴り上げた。女王が珍しくいら立っていた。それでも五輪会場に着くと、本来の姿に戻った。「五輪のようには感じなかった。他の大会のように心地よかった」。朝の練習の失敗も「練習は練習。本番のリンクと違う」と切り替えていた。

 チーム・ヨナが心の支えだ。オーサー・コーチ、母親、トレーナー、スタイリスト、マネジメント関係者らでチームを結成し、選手村ではなく、市内ホテルに宿泊している。ISU技術役員も務める沢田一也氏は昨年のGPファイナルに際し、「IDカードを7枚ほしい。我々のチームは、誰ひとり欠けるわけにはいかない」と言われたという。“家族”のきずなが金を支えている。

 得意のSPで得点を稼ぎ、フリーに臨む。後はプレッシャーを克服できるかだ。昨年11月のスケートアメリカはSPで当時の歴代最高得点を記録し、優勝したが、フリーでは崩れた。この日も「五輪での金メダルを夢見ていた。でも五輪をたくさん見てきたけど、予期せぬ結果も見てきた。金メダルを取れなくても受け入れる準備はある」と弱気な一面も見せた。金メダルへはもうひと山越えなければならない。【広重竜太郎】

 [2010年2月25日8時20分 紙面から]


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