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真央秘策!3回転半失敗しても後半再挑戦

厳しい表情を見せながら、フリー演技へ向けた調整を行う浅田真央
厳しい表情を見せながら、フリー演技へ向けた調整を行う浅田真央

 逆転金メダルへ、意地でもトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2度決める! フィギュアスケート女子のショートプログラム(SP)で2位の浅田真央(19=中京大)が、25日(日本時間26日)のフリーで、首位の金妍児(韓国)との4・72点差逆転を狙う。24日の公式練習では、3回転半を重点的に練習。フリーの冒頭で跳ぶ2度の3回転半を仮に失敗しても、後半に再挑戦というウルトラCの準備は万全だ。92年アルベールビル五輪では、伊藤みどりさんが終盤に成功させSP4位から銀メダルを獲得。“みどりパターン”で頂点に立つ。

 3回転半にかける思いの強さを示すように、浅田は大技に次々と挑戦した。午前中は本番会場のパシフィックコロシアムで練習。練習時間の後半に、集中的に3回転半を7度跳んだ。浅田が3回転半の軌道に入ると、他の選手は誰も近づかなくなる、独自のオーラを放った。今大会に出場する女子では浅田しかできない大技は、1度ミスしただけで、残る6度はすべて成功させた。

 ところが午後になると一転、3回転半の精度が急激に落ちた。9度跳んで成功は5度。特にフリーの楽曲「鐘」が流れる通し練習で跳んだ2度が、ともに踏み切りミスで1回転半となった。演技を中断すると、いら立ったように両手を腰に当て、ため息を漏らした。珍しく氷を踏みつけたかと思えば、流れる音楽を無視して再度3回転半に挑戦。今度は着氷が乱れて手をついた。他の選手が軽めの調整に終始する中、常々「五輪では(トリプル)アクセルを2発決めたい」と話す通り、最終チェックに余念がなかった。

 SPを終えて金との差は4・72点。日本スケート連盟の吉岡フィギュア強化部長は、浅田と金のフリーの演技構成を比較し「(浅田の方が)基礎点で3点ほど高いので、5点弱の点差ならいけると思う」と、十分逆転圏内だと説明した。

 フリーは浅田が後に演じるだけに、金がミスすれば3回転半を1度に減らす安全策に出る手段もある。だが吉岡強化部長は「それは考えていないはず。ベストの演技をしてどうか、ということだけ」とSPで1度、フリーで2度という、女子初の演技を完成させたい本人の思いを代弁した。

 挑戦した結果、冒頭で踏み切りをミスした場合は、ウルトラCに打って出る準備もできている。フリーで跳ぶ全7つのジャンプのうち、最後に跳ぶ2回転半を急きょ3回転半にするというものだ。演技終盤に体力を要する3回転半を跳ぶのは、男子でもトップクラスしかできない。専属トレーナーの牧野氏は「浅田のフリーはただでさえ男子並みの難度の高さといわれ、陸上400メートル障害と同等のエネルギーを消費する」と説明。それは昨季から変わらないが、同氏は「今季の方が楽にこなしている」と付け加える。これまでも不可能を可能にしてきた浅田だからこそ、常識では計り知れない力を発揮できる。

 さらに浅田は今大会、伊藤さんの銀メダル演技映像を、パソコンに取り込んで持参した。アルベールビル五輪で伊藤さんは、前半に1度は3回転半を失敗しながら、急きょ後半に再挑戦して成功。その意地と3回転半にかける誇りは、見習ってきた。規定上同じジャンプを繰り返すことはできないため、わずかな回転不足では終盤に再挑戦できない。だがこの日の通し練習のように明確な失敗の場合は同じジャンプと見なされず、終盤も再挑戦できる。「金メダルがほしい」と言い続けた浅田の生命線は、3回転半にかかっている。【高田文太】

 [2010年2月26日8時35分 紙面から]


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