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ヨナに世界一の重圧!3回転も2度転倒…

 世界女王の金妍児(19=韓国)が、25日(日本時間26日)の女子フリーで金メダルを狙う。ショートプログラム(SP)は、自己の世界最高点を更新する78・50点で首位に立った。韓国では期待度が最高潮に達しており、過去最大のプレッシャーがのしかかる。金メダルの行方は、自分の精神力次第だ。

 練習内容は、完ぺきではない。金妍児は2連続3回転を決めながら、単発の3回転は2度、転倒した。歓喜のSPから一夜明け、本番会場で行われた公式練習。フリー曲のガーシュインの「ピアノ協奏曲ヘ長調」をかけた場面では、ジャンプを跳ばずに、演技の流れを確かめた。決戦を翌日に控え、緊張感が漂った。

 ノーコメントの金妍児に代わって、カナダ人のオーサー・コーチが話をした。「ここ数週間、フリーのプログラムはきれいに滑っている。1番大事なのは、試合に集中すること。彼女へのアドバイスは、それだね」。ライバルの浅田についても「マオがいい状態になることは分かっていた。ヨナにとってもエキサイティング。よくなったマオを見られて、うれしいよ」と気遣う余裕もみせた。

 心の平静を保てるか-。金妍児の金メダルは、これにかかっている。得意のSPに比べれば、フリーは安定感を欠くこともある。注目度は過熱気味。選手村に入らず、近郊のホテルに泊まっているが、一部の韓国メディアに特定された。韓国のSP視聴率は33・7%で、放送したSBSの占有率は61・9%に上った。

 金妍児が演技をした時間帯の株式市場の取引は、前日比20%減。主要スポーツ6紙は、全紙が1面で金妍児を報じた。スポーツ東亜は「ヨナの黄金の銃 世界が息を止める」と、SPの最後に銃を撃つポーズにからめて見出しを掲げた。論調は「金メダルはほぼ大丈夫」か「まだ安心できない」の半々だ。

 オーサー・コーチは、浅田と金妍児のプログラムを比較して言った。「ジャッジにとって、いい比較になる。マオのは、暗めでドラマ性がある。ヨナのは明るく、流れるような感じだね」。金妍児はミスなく滑れば、逃げ切れる可能性は高い。高い注目度を、重圧に変えるか、追い風にするか。「クンミンヨドンフェン」(国民の妹)と呼ばれたヒロインは、浅田の1つ前、21番目にリンクに立つ。【佐々木一郎】

 [2010年2月26日8時32分 紙面から]


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