このページの先頭



ここからこのページの本文


スケルトン

Skeleton
  1. トップ
  2. ニュース
  3. 写真ニュース
  4. 結果
  5. 選手名鑑
  6. 競技メモ

スケルトン田山「熱くなる滑りをしたい」

飯倉山を背に、バンクーバー五輪での健闘を誓う田山
飯倉山を背に、バンクーバー五輪での健闘を誓う田山

 静岡・富士宮北高出身の田山真輔(27=システックス)がスケルトンのバンクーバー五輪代表として出場する。決定から一夜明けた26日、田山は長野市の専用競技場「スパイラル」で滑走練習を行った。ルックスは精悍(せいかん)でも高校時代は自転車で富士山をダウンヒルしてスピード感を養い、今では「氷上の危険なイケメン」に進化。ショートトラックの伊藤亜由子(23=浜松工出)に続く、今大会2人目の県勢五輪戦士に独占直撃した。

 3週間の欧州遠征から帰国して1日しかたっていないのに、田山はもう、そりに乗っていた。時差ぼけもいとわず攻めると、3本目で、98年長野五輪の開催地でW杯も開くコース記録を0秒02更新した。トップスピードは自己最速となる128キロを超えた。本数も、ほかの選手を上回る7本もこなした。手に入れたばかりの五輪切符を前に、何より気持ちが充実していた。

 田山 バンクーバーに行くのは自分だとどこかで思っていたので、今はホッとした感じです。僕は前に1日14本も滑ったことがあるので平気です。世界を見てもありえない本数ですが、何でも塗り替えないと気が済まないんで(笑い)。

 氷上のF1と呼ばれるスケルトンの時速は125キロを超える。そりの上に、ヘルメット以外の防具をつけずに寝そべると、氷上から高さ10センチの位置に顔が来る。恐怖心とともに、体感速度は倍とも言われ、体にかかる負荷はすさまじい。

 田山 ほかの人には危ないと思うかもしれないそのスピードが、スピード狂の自分には魅力なんです。

 小学生の時からスピードに取りつかれていた。車好きでF1をよく見て、テレビゲームもレースものばかり。高1の冬、富士宮市内の自宅近くにカートショップができると、1年間、カートに挑んだ。

 田山 高校生の時は自転車でわざわざ富士山の途中まで登って、思い切り下ったりとかしました。時速は80キロ近くまで出ていた。学校に行く途中には、下りから、90度に曲がる交差点があったんです。そこでスピードを出して、ブレーキを踏まずに体を倒して曲がることもしていた。前に車がいて、ぶつかってケガしたこともありましたけど。

 夢はF1レーサーと、高校卒業後もカートを続けるつもりだったが、金銭的な理由などで心にブレーキを踏んだ。そんな大学1年の冬。02年ソルトレーク五輪のテレビでスケルトンに出会った。興味を抱いて調べると「簡単そうだ」と思ったのが、きっかけだった。

 田山 競技人口も少ないし、五輪に出て目立てるかもって思ったんです。でも、最初は怖くて、ケガも多かった。カーブで体がすごくぶつかって、右腕が全部紫色になったり、衝撃で夜に頭がガンガンしたり…。やめようかなと思ったこともありました。でも、カートをあきらめた分、投げ出せないと思ったんです。

 06年全日本選手権で2位に入り、昨年12月には初めて優勝を果たした。持ち前の負けん気と、ツボにはまった時の爆発力は天下一品だ。周囲は14年ソチ五輪が勝負とみている。だが…。

 田山 コースにそりを合わせたなめらかな滑りが、長野のコースではできる。それがバンクーバーでもできれば結果はついてくる。見ている人が熱くなるような滑りをしたいです。

 氷を溶かすような熱い滑りのその先を、見に行く時が来た。【今村健人】

 [2010年1月27日12時40分 紙面から]


関連ニュース


このニュースには全0件の日記があります。



キーワード:

田山真輔


ここからフッターエリア

nikkansports.comに掲載の記事・写真・カット等の転載を禁じます。
すべての著作権は日刊スポーツ新聞社に帰属します。
(C)2024,Nikkan Sports News.