スピードスケート

練習の合間にブレードを気にする加藤（撮影・上田博志）

　スピードスケート男子５００メートルの金メダル候補、加藤条治（２５＝日本電産サンキョー）がスタートで大スランプに陥った。８日、五輪会場での記録会に出場したが、スタートに失敗した影響で途中棄権した。１５日の本番まで１週間となり、試練を迎えた。

　レース前からスタートを気にしていたが、レースでも不安材料を露呈した。最初の数歩でよろけて、１００メートル通過は１０秒００と通常時より約０・３秒遅れた。懸命に立て直そうとしたが、第１カーブ途中で腕章がずり落ちてきて、集中力が完全に切れた。自らリタイアし「スタートがダメ。説明しにくいけどバランスが取れない。やりたいことが何もできなかった。最悪の結果です」とこぼした。

　１月末のカルガリーでの記録会から変調の兆しはあった。同３０日のレースでスタートに失敗。練習も重ねて翌３１日は改善し「もう、ああいうミスは出ない」と課題は克服したかに見えた。だが再び異変が現れ「前回の記録会の後にも練習してよくなったと思ったけど、今日も案の定だった」と不安を口にした。

　この日のレース後も、スタートの４、５歩を繰り返し、靴も調整するなど必死だ。視察した日本スケート連盟強化部長で日本選手団の鈴木総監督は「神経質になっている。技術はあるのだから無の境地にならないと」と話した。持ち前の爆発力を見せれば、日本人で最も金メダルに近い。加藤は「これが本番じゃなくてよかった。集中して、そうならないようにしたい」と自らに言い聞かせるように言った。【広重竜太郎】

　［2010年2月10日8時30分　紙面から］

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