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お家芸スピード復活/Sスケート

2位の長島(右)と3位の加藤は肩を並べて笑顔を見せた
2位の長島(右)と3位の加藤は肩を並べて笑顔を見せた

<バンクーバー五輪・スピードスケート:男子500メートル>◇15日(日本時間16日)◇五輪オーバル

 日本スピードスケート界が総力を結集して取り返したメダルだった。整氷トラブルが発覚した瞬間、今村代表監督を中心に代表スタッフが素早く動いた。整氷車の復帰状況を確認する人、競技役員の説明を通訳する人、そして控室で待機する選手に現状を報告する人。役割分担して、選手の動揺を最小限にとどめようとした。見事な連係プレーがメダル復活につながった。

 4年前の惨敗が転機だった。強化部長で日本選手団の鈴木恵一総監督は「トリノ五輪の惨敗が頭から離れたことはない」と言う。改革のきっかけとなった。実業団の垣根を越えた。長島、加藤らが所属する日本電産サンキョーが、穂積らが所属するダイチとシーズン前に合同合宿を張ることもあった。選手の種目がほとんど重ならないという実情もあったが、技術の情報交換が少ない閉塞(へいそく)感のある業界に風穴をあけた。五輪直前のカルガリー合宿では代表内での合同練習も頻繁に行った。男女とも近年置いてなかった主将を据えた。今村代表監督は「チームジャパンとして戦う」と話していた。

 スケート界全体の底上げも図った。日本連盟は99年から40以上の大会映像を保管。それをサーバーに収めてパスワードを持った連盟登録者ならば誰でもパソコンで検索して見られるようになった「スマートシステム」を08年から運用させた。今季からは1秒300コマと通常の6倍を誇るハイスピードデジタルビデオカメラを駆使して、より細かい動作分析を行った。日本スケート連盟科学スタッフの湯田淳氏は「いつでも誰でも見られることにより、技術を共有できるようになった」と効果を実感した。

 「4年前の忘れ物」をテーマに掲げた今五輪。スピードスケート通算14個目のメダルには努力の結晶が詰まっていた。【広重竜太郎】

 [2010年2月17日8時44分 紙面から]


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