福島のり子(下)「3歳から雪の暴走族」が生きた
2009年10月21日
10年バンクーバー五輪で新種目として採用されたスキークロスは、どんなスポーツなのか? こう聞かれた時、女子の第一人者・福島のり子(30=ICI石井スポーツ)は「スタートは競馬、走りだしたらモトクロス」と答える。
福島 スキークロスと競馬は似ています。私は、馬の気分になるんです。馬券は買いませんが、テレビで競馬中継を見ていると「この馬は、こんなに前をふさがれているけど、どっから出てくるんだろう」という見方をしますね。
スキークロスは、4~6人の選手がゲートから同時にスタートし、全長約1000メートルを滑って、順位を争う。コースには、キッカー(ジャンプ台)、バンク、ウエーブなどのアイテム(障害)が待ち受ける。ジャンプして、コーナーを攻めて、選手同士が駆け引きをする。スキーの総合力が問われる種目だ。
福島が育った長野・白馬村はスキーが盛んで、家の前がゲレンデ。3歳から岩岳を中心に「雪上の暴走族」と化していた。
体のバランスを良くするため、スキーの元デモンストレーターの父政男さんから勧められて小3の1年間は、クロスカントリースキーに取り組んだ。その後は、アルペンスキーで、アジア大会やユニバーシアードに出場した実力者でもある。オールラウンドな能力は、スキークロスで生きた。
福島 昔から、スキーでいろいろ遊んできたんです。山を滑るだけでなく、ツインチップ(前と後ろが反り返ったスキー板)で(ハーフ)パイプに入ったり、キッカーを跳んだり。それで、アルペンのベースがあったから、私には向いていた。やってきたスキーを全部発揮できるのが、スキークロス。好き嫌いせず、いろいろやってきて、よかったと思います。
オフシーズンはBMXに乗り、インラインスケートや水上スキーに乗って、体を鍛える。サーフィンもでき、サッカーのリフティングもそつなくこなす。総合的な運動能力の高さも、福島の大きな武器だ。
今、スイスのサースフェーで雪上合宿を続けている。「今までは、例えば水上スキーの動きを、雪上の動きにどう生かせばいいか分からなかった。でも、今は全部つながってきた。やりたいことも、分かってきた。それからは、かなり順調に来ています」。W杯初戦は、12月21日。約2カ月後、五輪シーズンが本格化する。【佐々木一郎】
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