駒は揃っている、技術信じて
2009年11月29日
スキー・ジャンプのW杯が27日、フィンランド・クーサモで開幕し、団体第1戦(HS142メートル、K点120メートル)が行われた。昨季の世界選手権3位の日本は950・2点の8位に沈んだ。1番手の伊東大貴(雪印)2番手の竹内択(北野建設)3番手の栃本翔平(雪印)は大きく距離を伸ばせず、アンカー葛西紀明(土屋ホーム)が2回とも130メートルを越えたが、挽回(ばんかい)できなかった。五輪5度出場の原田雅彦氏(41=雪印コーチ)が、開幕戦を分析し、バンクーバー五輪イヤーの今季の日本勢を占った。
開幕戦の行われたクーサモは、日本人向きのジャンプ台ではない。日本勢が得意とするのは向かい風だが、ここは追い風が吹き、対応しきれないことが多い。だから、この試合の結果で一喜一憂することはない。実際、昨季個人総合覇者のシュリーレンツァウアーは2回目112メートルしか飛べなかった。逆に無名の選手が飛んでいる。この日だけでは今季の参考にはまったくならない。
直前練習では、日本勢は全員調子がいいと聞いていた。クーサモでの大会が終われば、風が安定しているリレハンメルに行って練習するようだ。そこでしっかりジャンプをつくれば、問題はないだろう。
バンクーバー五輪で日本のメダルの可能性が高いのは、この団体戦だと思っている。トリノ五輪で金メダルを獲得したオーストリアがここ数年、頭1つ抜けているが、それ以外はだんご状態。日本は五輪代表は決まっていないが、2月の世界選手権で銅メダルをとった選手が中心となるだろう。久々に駒がそろっており、実力を発揮できれば、上位は十分手の届くところにいる。
ただ、実力を出し切ることが難しいのが、五輪でもある。まずは自分のジャンプに自信を持つことが大事。強い外国人が出てくると、そのテクニックが気になるものだ。しかし、今からそのまねをしても五輪に間に合わない。日本の技術を信じてほしい。五輪シーズンはマスコミを含め周囲の期待も大きくなるが、プレッシャーを逆にモチベーションに変えるぐらいの気持ちの強さが必要だ。(長野五輪金メダリスト、雪印コーチ)
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