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長野五輪 多英の金が心動かした/上村愛子2

2010年1月20日

 98年長野五輪は、上村愛子(30=北野建設)にとって大きな転機になった。大会前、注目されたのは、実力よりもルックスだったかもしれない。人気に火が付いたきっかけは、IBMのテレビコマーシャルだ。

 満面の笑みで、当時高校3年の上村は「モーグルって知ってます? 始めてまだ4年なのに、オリンピックの候補になっちゃうんだよ。お母さんもすっごいびっくりしてる」とテレビの中で話していた。長野五輪代表に決まってからは、別バージョンが放送された。「みんなのおかげでオリンピックに出れるんだよ。モーグルやっててよかった。メダルは大変だと思うけど、ビシッと決めたいです」。言葉からは五輪に出られる喜びが満ちあふれる一方、メダルへの執着心は、まだなかった。

上村愛子
長野五輪モーグル決勝で金メダルを獲得し涙する里谷(右)と、もらい泣きする上村

 結果は、7位入賞。「多英さんのことが気になって、自分の順位は最後まで分かりませんでした。1ケタに入ればいいと思っていたから、7位は大満足。でも自分の入賞より、多英さんの優勝の方がうれしい。2人で泣きました」。当時のコメントは、無欲だった18歳の状況を明確に示していた。

 里谷多英の金メダルは、上村の心を動かした。閉会式で「4年後は(今大会の)7番以上を目指したい。多英さんの位置あたりがいいです」と話した。楽しかった長野五輪。順調に滑り出した上村のモーグル人生だったが、この先に、これほどの苦難が待ち受けていようとは、想像していなかった。(つづく)【佐々木一郎】


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冬のヒロイン
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バンクーバー五輪代表の女性アスリートを取り上げた日刊スポーツ紙面連載です。

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