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表彰式を終え1人トイレで泣いた/浅田真央5

2010年1月30日

 バンクーバー五輪に向けて初めての外国人コーチ、アルトゥニアン氏(ロシア)に師事した浅田真央は、涙で06-07年シーズンを終えることになった。

 不調の波が激しく安定感を欠いたシーズン序盤とは違い、06年12月の全日本選手権では会心の演技を披露した。国際スケート連盟主催の大会ではなく参考記録扱いだが、シーズン序盤は決まらなかったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をフリーで成功させるなど、金妍児(韓国)がマークした現在の歴代世界最高得点よりも高い、総合211・76点という驚異の得点をたたき出した。

浅田真央
07年世界選手権、1位の安藤(右)と2位の浅田

 小学6年で出場した02年は7位、04、05年は2年連続で2位と、優勝にあと1歩届いていなかった全日本選手権。その1年前、GPファイナル(東京)を初出場で優勝しても涙を流さなかった浅田が、初めて人前で涙を流した。「すごいうれしかったし、すごい気持ちよかった。すごいびっくりした」。重圧や、それまで思うような演技ができなかった悔しさなど、さまざまな感情が交錯した。

 全日本選手権の優勝で、それまでは年齢制限で出場できなかった世界選手権への初出場が決まった。翌07年3月、東京で行われた同選手権のSPは5位と出遅れた。それでもあきらめず、攻めの演技で挑んだフリーでは、90年の伊藤みどり以来、同選手権では17年ぶりとなる3回転半を決め、133・13点という、フリーの世界歴代最高得点をマークした。

 3位に終わったライバル金を上回って、優勝した安藤美姫には0・64点及ばず2位。「悔しいけど、うれしい」。耐えていた気持ちから放たれたように涙が止まらなくなった。だが、安藤との表彰台に立った表彰式を終えると、人目を避けるようにトイレに入って泣いた。「パーフェクトな演技で金メダル」。真の世界一への思いは一層強くなった。(つづく)【高田文太】


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冬のヒロイン
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バンクーバー五輪代表の女性アスリートを取り上げた日刊スポーツ紙面連載です。

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