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中野友加里(下)「Goal」へ迷いなし

2009年9月18日

 フィギュアスケート女子の中野友加里(24=プリンスホテル)の1日は、毎朝5時に始まる。寝坊しないように、目覚まし時計を2分おきに3つセット。6時にはリンクで練習を始める。週1度の休みを除き、大学1年時から続くこの生活は6年目。午後11時には就寝と、青春時代を夢の五輪初出場にかけてきた。
 中野 トリノ五輪に出られなかった時、バンクーバー五輪まで4年もあると思っていたけど、今思うと4年は長いようで短かった。早起きすると1日を有意義に使えていいんですよ。
 今夏は「酸欠になりそうだった」というほど、ショートプログラムの「オペラ座の怪人」と、フリーの「火の鳥」を滑り込んだ。フィギュア界では王道といえる2曲を選んだ背景に、今季にかける思いがある。
 中野 小さいころから滑りたかった曲でもあるし、五輪シーズンはどうしても自分が滑りたい曲でないと気持ちも乗っていかないので、振り付けの先生と相談して決めました。 今季はラストチャンスの思いで臨む。前回の五輪シーズンは、05年のNHK杯で初優勝を飾ると、初出場のGPファイナルで3位。荒川、村主、安藤らとともに一躍、五輪代表の有力候補に名を連ねた。だが全日本選手権で5位となり、切符を逃した。
 中野 (五輪に)行けるのか半信半疑でした。前のシーズンは全然成績が良くなかったのに、突然候補に挙がったので。トリノに出ていたら、バンクーバーまで目指していなかったかもしれません。今年はどうしても行きたい。五輪を目指すのはきっと最後でしょうね。(14年)ソチまで続けられる自信はないですね。
 92年アルベールビル五輪銀メダリストの伊藤みどりさん以来、日本女子でトリプルアクセルに成功したのは2人目。エースになる実力を備えながら、トップに立っていない。先輩には荒川静香や村主章枝、後輩には安藤美姫や浅田真央と、才能豊かな選手が常に周りにいたからだ。
 中野 サンドイッチみたいに挟まれて、大変な位置ではありましたね。でもそういうトップスケーターの存在が、いい刺激になりました。ライバルかもしれないけど、追いつきたい、できるなら追い越したいという目標があったからこそ、成長できたと思います。
 実は高校3年時の03年に参加した全日本合宿でペア転向を持ちかけられた。高校1年時の世界ジュニア選手権女子シングルで銀メダルを獲得したが、その後は伸び悩んだ。合宿にコーチとして帯同していた、全米選手権ペア優勝の実績を持つダンジェン氏から熱心に勧められた。04年には米国人選手と組んで滑ったこともある。
 中野 ペアはすごい楽しかった。パートナーもすごいうまい選手でした。でも1番に頭をよぎったのは国籍。あと、どうしてもシングルを捨てきれなかった。
 五輪を夢見るようになったのは、伊藤みどりさんが銀メダルを獲得した姿を見た時。シングルの日本代表として五輪に出場する夢を、あきらめたくなかった。バンクーバー五輪に向け、迷わず色紙に書いた目標は「Goal(ゴール)」。遠回りし、迷いそうにもなった五輪への道が、集大成を迎えようとしている。【高田文太】(おわり)


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